投稿
「2022年問題」~大量発生する宅地~2017年6月号
2018.01.10
「生産緑地制度」を覚えておられるでしょうか。
1992年に市街化区域内の農地を保全する目的で主に三大都市圏で定められました。
「市街化区域」は市街化を促進する区域であり、農地についても宅地化していく
ものとみられましたが、都市部でも農業を続ける者は数多く存在し、都市の緑地
保全が求められる事情がありました。
そこで市街化区域内で農地として維持される生産緑地が指定されました。
生産緑地は税制面で優遇されるかわりに、30年間農業を続けることが義務づけられ、
原則として農地以外に使用できませんでした。
改正生産緑地法が適用されたのは1992年度からだが、生産緑地の多くは初年度に
指定を受けているため、2022年に営農義務が外れ、宅地などへの転用の道が開け
ます。
2014年3月時点で生産緑地は全国で13,653ha、東京都 3,329ha(23区内
445ha)、埼玉県 1,824ha、川口市には135、8haほどの面積があります。
県内でさいたま市、川越市に次いで第3位の面積となっています。
全国合計のうち面積の約4分の1が東京都。
また、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府の6都府県で全体の
およそ8割を占めます。この広大な土地は2022年から営農義務が外れ、所定の
手続きを経て不動産市場に供給されます。
指定から30年たつと、地元自治体に農地の買い取りを申し出ることができ、
財政難などから買い取れない場合、自治体は他の農家へあっせんするか、
買い手がつかないと指定は解除されます。
税制優遇がなくなるため、地主は売却や賃貸による土地の有効活用を考える
必要が出てきます。
空き家問題が年々深刻化するなか、現在も土地利用に最善の方策がないように
今後あらゆる場所で過剰供給による競争が激化するのではないでしょうか。