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地目の認定と登記について 2021年4月号 

2021.08.25

 

日本の登記制度は、国民の重要な財産である土地家屋の物理的な状況と権利関係
の登記記録(登記簿)によって公示することで様々な取引の安全な保証するもの

として機能しています。

従って、登記手続きには適正かつ厳格な判断基準が要請されています。

不動産登記法により土地の表示に関する登記事項は、土地の所在、地番、地目、

地積、登記原因及びその日付、登記年月日等となっています。
今回はその中の『地目』について解説します。 

                                      
                                        
地目は「一筆の土地」ごとに定められ、現在は23種類の地目が存在します。

これらの地目は種類ごとの基準によって認定されます。

                                   
                                        
1.田 2.畑 3.宅地 4.学校用地 5.鉄道用地 6.塩田

7.鉱泉地 8.池沼    9.山林 10.牧場 11.原野 12.墓地

13.境内地 14.運河用地 15.水道用地 16.用悪水路

17.ため池 18.堤 19.井溝 20.保安林 21.公衆用道路  

22.公園 23.雑種地

                     
                                        
地目の認定は、その土地の利用上の観点から総合的に判断されています。

例えば、「田」と「畑」については一般的にはその土地で生産される農作物

(米、リンゴ、みかん等)で区別されますが、登記法上の地目では(1)農耕

地で用水を利用して耕作する土地が「田」、(2)農耕地で用水を利用しない

で耕作する土地を「畑」、と定めています。
また「墓地」は墓地埋葬法に基づく許可を受けた土地、「保安林」は森林法

に基づく保安林の指定がなされた 土地など、法定による地目も存在します。

地目は登記された時点での現状から登記されたもので、現在の状況とは異な

る場合があります。
                                         
家を建てられるかどうかでいえば、地目によって建築の可否が判断される

ことはありません。
地目は「その土地が登記された時点」の現状を表したものであって、例えば

牧場や原野を購入して建築基準法に則り家を建てることはできます。
しかし、農地法がかかわる農地の場合、宅地など別の用途への転用や農地の

売買が制限されています。
例えば親から相続した田んぼに家を建てようと思っても、勝手に農地以外に

変更することができないのです。
地目に変更が生じた場合には、所有者(表題部・権利部)は変更があった日

から1ヶ月以内に変更登記を申請する必要があります。

法律に基づく許可等により地目の認定を受けた土地は、その変更時も同様の

許可(指定解除、廃止等)が必要です。

住宅ローンを組む場合、金融機関は土地に抵当権を設定しますが、地目が

宅地以外の場合は抵当権を設定 しない、つまり住宅ローンが組めないこと

があります。特に地目が「田」「畑」はたいてい組めません。

それ以外の地目でも金融機関によっては地目変更を求められることがあります。